1051 バッコヤナギ

バッコヤナギまだ冬色の林の中に柔らかな黄色を見た。近づいてみるとヤナギの雄花、春の陽に輝くバッコヤナギの雄花だった。淡く光る軟毛に包まれた「ネコ」は、川辺のネコヤナギほど可憐ではないが、膨らんで雄蕊を盛大に展開し始めると負けず劣らずの豪奢な金毛のネコとなる。野山の生命全てを甦らせる春は、溢れんばかりの土の匂いと若葉の色で、野山を惜しみもなく満たしてくれる。