873 いつもの夕焼け

いつもの有珠山書斎の窓から朝夕、いや昼も夜も有珠山を見ている。真西に当たるので、夕日はいつも有珠山の向こうだ。晴れた日は落ち込む瞬間の光芒があり、高曇りの時には雲底の反映に見とれる。今日とて、いつもと同じ夕日の照り返しが空を覆っている。見とれているいつもの自分もそこにいる。光を失った窓ぎわの空気は、滲んだ茜色の匂いがする。                                           3月5日、17時42分の夕焼け。