184 透明な惑星

透明な惑星 始終北西の風が吹く北辺の不凍湖にも和やかな日差しの時があって、湖岸に出ると、眼につく光あるものすべてが透明に見えている。ぎりぎりまで下がった水温は密度を増し、粘性さえ感じ、そのあたりでは時間の経過までとろみを帯びてくる。大気は香りを持ち、吐く息さえ甘い。存在するものすべてに意味を感じる。