146 黴の花

ベニテングタケ ひとはベニテングタケと呼ぶけれど、本来は Amanita muscaria というカビ。日本のみならずヨーロッパ、北アメリカ、今では全世界的に蔓延している担子菌類だ。世界中の暗く湿った土の中で、針葉樹や広葉樹の根に絡みついて共生する菌根菌である。しかしキノコはカビの花、地表に現れた表向きの顔。だがこの面構えを見よ。それは胞子を風にのせ終えて、まだ立ちつくす強面な野伏せり。ぼろぼろになりながら急流に朽ち果てる雄鮭に似てないか。