74 春の朝に

エゾリス 昭和新山を迂回するドンコロ山の下り坂、エゾリスが死んでいた。二十分ほど前のある瞬間の出来事だよと、ミヤマカケスが騒いで触れまわっている。厳しい冬をやっと乗り切ったやわらかな朝なのに。   私の片手に余る大きさで、ずっしり重い体。藪に置いてやろうと思ったがここはノスリのホームレンジだし、抱卵中のハシブトガラスの巣もあるようだ。道の脇に寄せて、彼の身体を春の生命たちの成行きに託すことにした。