53 瞬膜

ハシボソガラス カラスはよく見てよく考える。眼が命だ。地上では眼と嘴と足で何でもやってのける。クルミを車に轢かせ、なんとかぎりぎり腹を満たす日暮らしカラスの眼が、瞬間白く写った。人の瞼が眼を涙でうるおしゴミと悲しみを拭うように、文なしのカラスの青白く半透明な瞬膜も同じ役割をになう。人の瞬きと同じくらい頻繁に動く。数億年も昔に祖先が水中で眼を得た時からの習いだ。人の瞬膜は退化して眼頭に少し残っている。