335 薄氷(うすらい)

洞爺湖湖畔の風のあたらない少し入江になった所で氷結した水面に出会った。この湖は不凍湖だが、静かな水面にはゆっくりと氷の結晶が出来て行く。水は透明そのもの。ここでは時間が止まっているのかゆっくり進むのかよくわからない。そのようなあたりまえの自然の成り行きを一つひとつ納得しながら歩を進める。時間も空間も自分すらも消えてなくなる。