1044 静かな雪

静かな雪風のない明け方、静かに降った雪は、小さな枝の上にもゆっくりと積もって、揺れもせず落ちもせず。春の柔らかな雪の持ち味だ。耳を澄ますと雪の匂いがした。静寂は匂いを連れてくる。凛とした緊張感はないが、それでも精一杯に撓み、重さを堪えて、腹をすかせたシジュウカラが、傍をぶんと飛んだだけで、重さのない雪がはらりと落ちた。   3月3日、雛の日の朝。