301 命の重さ

エゾシカ昭和新山の際を通るR453、18時を過ぎた闇の中、エゾシカが倒れていた。前の車と衝突したらしく、起き上がろうとしているが腰から下が動かない。通りがかったドライバーと次の事故を誘発させないように路肩の藪まで運んだ。80kgはありそうなおとなのメスだった。動かぬ後ろ脚を両手で握る。ざらついた剛毛の感触と熱い体温が掌に伝わってくる。重たかった。見開いた瞳にヘッドライトと私の顔が映っていた。野性と人との距離近くなったのが気になる。