256 濡れ烏

濡れ烏大雨となった日、家の前を流れる泥水を背に、ここにテリトリーをもつ5歳のハシボソガラスの雄。しとどに濡れ、胸の分け目に白い羽毛が見えている。いつもの精悍さも消え失せて空腹で、これでは重くって飛ぶこともかなわない。元気を出せよ。髪は烏の濡れ羽色。紫や青緑の干渉色の浮かぶ艶やかな女性の黒髪の褒め言葉だ。豪雨も当たり前が自然の成り行き。雨が止んだら洗い髪に浴衣姿で出ておいで。