1063 ハマダンゴムシ

ハマダンゴムシアルトリ岬の砂浜でハマダンゴムシを見つけた。ワラジムシ目で、フナムシも一緒だ。日本中の砂浜に住み、オカダンゴムシの方は外来種だという。体節の側面に鎧の草摺のような底節板があることでオカのものと異なる。手の上で丸い石ころとなり、見るからに愛らしい。浜辺に打ちあげられた腐植や動物遺体を食べる群集の一員で、これらが活躍しなければ海辺は悪臭に満ちるだろう。

1056 翔べなかった日

コクワガタ薪にしようと積み上げていたサクランボの朽木を焚火台で燃やした。翌日、燃え残りの中からすっかり炭化したコクワガタを見つけた。脇には黒焦げの幼虫も。すまん。かわいそうなことをした。おまえたちのこと気にも留めていなかった。凍てついた冬を二回耐え、やっと成虫となったはずだ。虫に落ち度はない。不条理な話だ。飛び立とうとしていた空は高く、吹く風は緑なのに。

1052 キツツキの食卓

キツツキ食痕洞爺湖畔、キツツキが食べ散らかした木くずを撮っていたら、「写真ならこっちがいいよ」と小さな女の子が教えてくれた。啄んだ孔の奥、春の光を受けて朽ちた樹の木部に虫の見事な食痕がみえた。「眼がいいのだね、君は」。気が付かなかった。キツツキの狙いはこれだったか。昆虫だと思うがそれから先は不明。食卓についたのはアカゲラだと思うが姿は見ていない。樹はアズキナシ。

1049 生命潮流

ハクチョウ遥か高い空を小さく鳥が飛んでいる。望遠レンズで写し、拡大したらハクチョウだった。二羽だけ、方向は北。あの高さから何処まで見通せるのか。ただひたすら羽ばたき、啼き交わし風に乗って、ついにはシベリアにたどり着く。導く本能には理由や目的はない。何があっての、なぜの二羽なのか。私にはわからない。巡ってきた季節を見下ろし、時の奔流に乗るいのち。生命潮流。

1046 ねぐらは有珠山

有珠山のカラス夕暮の欝金色の空を、カラスたちが有珠山へと向かう。まずはロープウェイの太い索に集結し、ねぐらは昭和新山のサンゴ岩下の林。百羽、二百羽を超える。久保内や立香、滝之町あたりを行動圏 (home range) にしている集団だろう。巣作りが始まっている縄張り (territory) をもつ個体群や、いつも群れて移動している若鳥集団も一緒。ハシブトガラス 、ハシボソガラス合同の日周行動だ。

1045 ホザキヤドリギ

ホザキヤドリギ壮瞥町の開拓記念館「紫明園」。園地には7本の直径70㎝を超えるカツラの大木がありすべての樹に赤い実のヤドリギが寄生している。偶然に写真中央の樹の直下でホザキヤドリギの黄色い果実を見つけた。落葉性なので植物体は見つけられなかった。北海道での新記録となった洞爺湖畔のハルニレから約1.6㎞離れた市街地での新しい分布だ。果実食の野鳥による種子散布と思われる。

1043 ハクチョウ

ハクチョウ3月の始め、もう雪がない。伊達市関内の畑にハクチョウが集まっていた。数えたらおよそ300羽。いつもの年よりずっと早く、身体に受ける風の柔らかさにも春の感じがする。慌てて車を止めカメラに収めた。気が付くとさらに数台。みんな早くやってきた春を写しているのだね。パンを買いに出かけた帰り道、こんなに集まったハクチョウに出会えるなんて、それだけでも幸せだ。

1041 カササギ

カササギ室蘭市イタンキ浜近くの市街地で二羽のカササギを見つけた。精悍な顔つきの尾の長い小型のカラスの風情。行動の様子からつがいと思われる。渡りをしない定住性の鳥だからこの辺りに営巣しているのだろう。旧北区を物語る動物でユーラシア大陸の人々の生活と関わってきた鳥だ。大陸を離れての日本の分布やこの辺りの飛び地的な分布には謎なところが多いという。(ブログ586)

1038 キツネのお宿

キツネのお宿キタキツネの4匹いた子の一匹が親からなわばりを受け継いで、1匹だけ居残ったようだ。ここは木の根や枯れ枝の集積場所。右下の黒い穴が入り口。中は広く寒さもしのげて当分は安全な場所だろう。私の書斎の窓からきっかり100m。双眼鏡で出入りがよく見える。果樹園、農地に接していて、宅地にも近い。果物、野鳥、ノネズミ、たまにヘビ、トカゲ。頑張れキツネのお隣さん。

1032 鳥よ、鳥たちよ

マガン明るい冬の空、マガンの群れが低く飛んでいる。畑、里山、街の上をいくども旋回し、やがて丘陵の陰に消えた。大きな鳥だ。翼の色が濃く胴が太い。ただ者ではないその力量感に打たれ、カメラを手にしたまま呆然と眼で追っていた。生き物の群れが持つ存在感は、私の心を揺さぶり、かつ覚醒させる。置いて行かないでくれ。 鳥たちは過去を顧みない。(伊達市館山 2020 JAN 22)